海外進出の手ほどき〜東南アジア タイへの進出 

コラム第一回目は、タイへの進出についてお話しさせていただきます。

経済のグローバル化が進み、国内市場が伸び悩む中で、大企業だけでなく、中小企業の海外展開が加速しています。アジア諸国を始めとする新興国の急速な発展により、すでに日本国内では需要が伸び悩む企業にとっても海外ではチャンスを見出すことができます。
日本では存在して当たり前の製品・インフラ・サービスも海外には存在しないものがたくさんあります。他国には見られない日本の技術は、今や世界中から注目を浴びております。

日本人は、職人気質で几帳面、何事にも完成度の高さを求める傾向にあるため、仕事に対する完成度や鋭さは、海外からも賞賛されるのです。

産業用ロボットの製造販売を事業とするとあるメーカーは、縮小する日本国内市場への危機感がきっかけでタイに進出されたそうです。海外の展示会に出展しましたが、それだけでは顧客の求めに答えられず、本格進出が必要と感じたそうです。タイに産業用ロボットの自社工場を立ち上げ、現地法人設立はその3年前。進出後は仕事は確実に増えたそうです。

人々が早さにあまり固執しない東南アジアは逆に言えば産業用ロボットの願ってもいない市場であり、許認可の遅さなど、モノづくりの上ではデメリットもありますが、それも含めて現地を受け入れて現地スタッフと向き合うことが新参者に必要なことだと話されています。

ちなみに、タイへの日系企業進出状況は、企業数1,772社、(バンコク日本商工会議所会員数 2019年4月1日時点[jetroタイの概況より抜粋。])また、商務省に登録されている日系 企業は、休業中や撤退した企業を含むものの8,890社に上回ります。在留邦人は72,754人で す。(2017年10月時点[jetroタイの概況より抜粋。])日本食レストラン数は前年比21%も増えており、日本人が多く居住するチョンブリー県で241店舗、バンコク近郊のノンタブリー県で170店舗北部の観光地チェンマイ県で152店舗とのデータがあります。

(jetroビジネス短信より)コンビニや日本の製品を買うことができるドラッグストアもかなり増えており、日本人にとってアジア圏の中では最も住みやすい国のうちのひとつであると思います。夜になると酒類の販売を規制するなど治安維持
に対する工夫もされています。

なお、人口約6,765万人(*jetroタイの概況より[2017年、出所IMF])、面積は51万3,115平方メートルと日本の約1.4倍です。また、人口の約95%が上座部仏教であり、手を合わせる風習や慈悲深い雰囲気が日本との共通点といえるでしょう。
特殊なノウハウを持った中小企業がたくさん存在する中で、言葉や文化、法律の違いにより海外進出に悪戦苦闘することが多いのも事実です。海外進出を目指しても、人員不足や進出の突破口が見いだせないなど、容易なことではありませんが、中小企業の海外進出にはかなり多くの事例があります。

また、アセアン加盟国との貿易であれば特恵関税が適用できる自由貿易協定や経済連携協定など、海外進出の手立てとなる制度も整っております。

まずは海外のお客様と触れ合うきっかけとして日本国内で行われる大きな展示会に出展され、海外から見た日本の製品、サービスに対する視点や需要に気づくことも進出の第一歩になるかもしれません。
昨今の国際見本市には、海外からの団体のお客様が見学に来られるなど数年前に比べて来場されるお客様の傾向も変化しております。