伝統工芸企業の海外進出事例

伝統工芸の分野で海外進出をされた企業の例を紹介させていただきます。

富山県高岡市に、「高岡銅器」の現代的着色仕上げ技術を活かしたインテリア用品や建築部材を生産している企業があります。
「高岡銅器」には、400年の伝統があり、同社は仏像、梵鐘、茶道具や美術工芸品に至るまで、さまざまな鋳造品の着色を手がけてこられました。
この「着色」というのは、銅や真鍮が持つ腐食性を利用し、薬品や炎をコントロールして、鮮やかな色彩を発色させる伝統技術だそうです。
出来上がった製品の色合いは、1点1点が異なる顔を持ち、1枚の金属に、職人の手とイマジネーションで千変万化の表情になる様です。
イヤリングやネックレスなどのアクセサリーも手掛けられていて、独特の深みがある銅色やターコイズブルーが魅力的です。

海外進出のきっかけは、数年先を見据え、早い段階から海外に向けようと決意されたことだそうです。
世界中のバイヤーが集う展示会への継続的な出展や英語版HPを開設するなどし、バイヤーからの問い合わせを増加させ、台湾、アメリカ、中国への海外進出に成功されました。
展示会というのは、興味を持ってくれたお客様と顔を合わせて直接商品も見てもらいながら商談できるので、距離を縮めるためにはとても効果のある販路拡大方法だと思います。
数日間で一気に集客が見込めるのもメリットですね。
初めての出展で多くの集客が得られなかった場合でも、毎年出展を継続するうちに、少しずつ知名度が上がります。
同社は、展示会に出展する以外の営業活動はされていないそうですが、売り上げの9割近くが自社オリジナル製品の販売によるものだそうで、売り上げは以前の3倍近くになったようです。

また、FacebookやInstagram、オンラインショップも開設されておりSNSの発信に力を入れるなど、現代に合わせたやり方を積極的に取り入れられている様です。
伝統工芸の分野において、高齢化や人材不足による後継者不足の問題が深刻化しておりますが、メディアへ積極的に出られたり、そういった情報がウエブサイトやFacebookに掲載されることにより、学生さんからの、就職に関する問い合わせも増えたそうです。
HPをはじめとするSNSは、日本国内にいながらして、海外のお客様とコミュニケーションを素早く簡単に取ることができる心強い営業ツールになります。
アクセサリーやコースターなどの販売され始めたことも、これまでの概念にとらわれずとても斬新だと思いました。

伝統を壊さず現代のスタイルに合わせたプロダクトデザインを手がけられています。
例えば高級な器などは特別な日に使われるなど頻繁に使われる機会が失われがちですが、普段から身に着けるアクセサリーであれば日常の中に取り入れることができるので、購入を促しやすく、海外のバイヤーの目にも止まりやすいやすいかもしれません。
海外のバイヤーは、他にはない商品を発掘したいので日本独自の伝統工芸品は非常に興味をもたれるでしょうし、近年の急激な海外からの観光客の増加も手伝って、徐々に日本の伝統工芸品も認知されていくのではないかと思います。

日本のハイテクノロジーも海外から大変注目され続けていますが、日本の職人さんによって手掛けられた伝統工芸も海外進出されるのは、大変嬉しいことです。

また、日本の伝統的工芸品のアンテナショップが中国にオープンしたそうですが、人気が高まるメイドインジャパン、今後の伝統工芸の分野の海外進出の展開もとても楽しみです。