四国製紙メーカーの中国進出へ取組み

今回は環境に配慮した紙製品を開発・販売している某メーカーがアジア諸国やアメリカへ進出した事例についてお話します。

同社は、世界のエコブームに「メイド・イン・ジャパン」で挑戦する創業対象3年のメーカーで、合成界面活性剤不使用の重曹電解水を使い、人にやさしく・水環境に負荷をかけないウエットクリーナーなどの、地球環境に配慮した多数の自社オリジナル商品を開発・販売されています。

映画「書道ガールズ!」の誕生地としても名が発信された紙のまち、愛媛県四国中央市に本社をかまえ、手すき和紙の取り扱いからスタートし、紙テープや七夕紙なども併せて製造、戦後の高度成長期を経てトイレットペーパーという市場に参入したものの、ライバル会社や市場における低価格競争に直面し、事業転換の選択をせまられるようになったそうです。

そこで「環境に配慮した自社オリジナル商品の開発と販売」というコンセプトを導きだし、環境に優しい重曹電解質を用いたキッチンクリーナーやトイレクリーナー、美容分野で使用される強酸性電解水を含んだウェットティッシュなどを主力製品とした事業展開をされています。

既に多く市場に供給され始めた紙製品で勝負するのではなく、時代の変化に合わせて自社の特徴を導き出し、主力製品をシフトされたのですね。
肌が弱くて合成洗剤で手が荒れてしまう人にもそういったトラブルが起きなかったという声もあるようで、アトピーなど肌トラブルのある人にも重宝されるでしょう。
また、進出先の中国では、大気や水質の汚染が懸念されていますので、中国在住の日本人からも、同社の様な安心安全な商品は大変注目されやすいのではないかと思います。

海外進出のきっかけは、あるお客様から商業貿易流通グループの関係者を紹介いただく話があり、中国へ赴いたことがスタートだそうです。
中国での展開方法として、中国の高級スーパーと百貨店をベースに、訪れる上海在住の日本人をメインターゲットとし、現地の百貨店にて店頭販売を実施されました。

また、中国上海化粧品展への出展をするなどの活動も行い、現在アジア圏では台湾・香港・ベトナム・韓国・タイ・フィリピンへも事業展開されています。なお、アメリカへも進出を果たされており、シカゴで開催される展示会には継続的な出展をするなど積極的に活動されておられるようです。
アメリカでは、環境保全を謳っている商品に対する意識が高く、ナチュラルというキーワードが注目されているようです。

しかしながら、すべてがトントン調子であったわけではなく、中国では、東日本大震災の影響で、日本の製品の中国への輸入が禁止の状態になったり、政治問題により、採用した中国人研修生が辞めざるを得ない状況になったりと海外取引ならではの、予期せぬ経験をされています。
中国進出を諦めた時期もあったものの、人からの紹介で、現地の中国人の方を紹介いただくなど、何とかピンチを乗り越えられています。

昨今は、大気汚染や水質汚染などの環境破壊を、世界レベルでくいとめるべく、各国での対策が必要な時代となりました。
2015年には、ニューヨーク・国際本部で開催された国連サミットにて、「SDGs(SustainableDevelopmentGoals=持続可能な開発目標)」が採択され、17の目標がかかげられています。
その中に「安心な水の供給と再生」や「水資源の保全」という項目があり、多くの日本の企業が、目標を達成すべく、環境問題に配慮した製品づくりや活動を始められています。

このような背景もあり、地球に優しく付加価値のある同社の様な製品は、日本国内のみならず、世界からも関心が集まるでしょうし、これからもどんどん世界中に愛用者が増えてほしいですね。