食品会社中国進出への取組み

子供の頃、おやつに食べていたミニカップラーメン。
多くの子供たちを虜にする様なくせになる味で、少しのお小遣いでも買える低価格のおやつであったことが思い出されます。
お湯を注いで卵をのせ、調理しなくてもすぐに食べることができるので、子供たちのおやつにぴったりです。

今回は、製麺企業から出発し、現在は即席麺・乾麺の製造販売を事業とし、ミニカップラーメンを大ヒットさせた企業の海外進出事例についてお話ししたいと思います。

即席麺・乾麺の製造販売会社紹介

同社は、栃木県足利市に本社を構え、なんと今から約85年前に乾麺の製造を開始された、歴史のある企業です。日本国内で大変有名な大ヒット商品を製造されています。
現在、輸出事業を展開されておりますが、取引先国は、香港、米国、韓国、中国、タイ、シンガポールです。

同社(即席麺・乾麺の製造販売会社)は、日本でミニカップラーメンを発売した際に、初めは苦戦されたそうですが、その後は大ヒット。
キムチ味、カレー味などなど、バラエティに富んだ商品を開発されています。
日本国民がくせになる美味しさ、世界の子供たちにも伝わること間違いなしです。
それに、ラーメンや焼肉、カツ丼、天ぷらなど、がっつりして濃い味の日本食は、海外に人気の傾向にあります。

多くの日本の食品会社が開発にかける情熱や技術力は、他の国には全く劣りません。海外での売り先がマッチングすれば大ヒットとなることが期待できます。

中国へ進出

同社(即席麺・乾麺の製造販売会社)の社員は62名と決して多い方ではありませんし、元々輸出のノウハウを持った社員がいたわけではない様です。
どの様に、取引先の国を増やされたのでしょうか。

まず、同社のターゲットは中国だったそうです。
もともとラーメンは中国発祥の食べ物で、日中の外交が盛んになってから、中国から日本へ伝わりました。やがて、日本でインスタントラーメンへ形を変え、中国に戻ってきたわけですね。
中国では、1990年代にインスタントラーメンが大ヒットし、製麺の製造に関わる機械メーカーなどの日本企業も中国進出に乗り出しました。

海外進出において難しい点は、こんなに日本で大ヒットとなったカップラーメンであっても、その美味しさをどのようにして海外の人達に知ってもらえるかです。

同社(即席麺・乾麺の製造販売会社)は、中国進出に先立ち、香港でのテストマーケティングから始めたと言います。
県が香港で開催した商談会に参加、ここで予想以上に反響があったことがきっかけとなり、東アジア最大規模の総合食品見本市への出展、韓国での展示会、香港への展示会と、参加実績を重ねたそうです。
この積み重ねが、海外市場への参入の一歩となったようです。

今はインターネットもあり様々な情報にあふれていますが、やはり直接海外のバイヤーと触れ合って意見を交わしたり、彼らの反応を見たりすることは大事な活動で、商売の傾向や国々の特徴が分かってきます。

インスタントラーメンの世界的データ

インスタントラーメンは、日本で誕生してからの歴史も長く、既に世界にも広まり愛されていて、十分に需要があります。

それらのことを具体的に表すデータがあります。

一般社団法人日本即席食品工業協会の2018年データによりますと、日本から世界50カ国へ9,911万食のインスタントラーメンが輸出されているそうです。

そして、1年間に全世界で消費されたインスタントラーメンの数は1,036億食。
2019年のデータによりますと、インスタントラーメンの世界総需要第1位が、同社が初めてテストマーケティングを行った香港、続いてインドネシア、インド、日本、ベトナムです。

海外進出においての準備と成果

また、同社(即席麺・乾麺の製造販売会社)が海外進出のステップとして行なったことが、貿易実務の習得、英文パンフレットの準備、プライスリストの作成、効果的な試食販売方法、実際に現地に赴き展示会で出会った有望バイヤーへの直接訪問でフォローアップなどです。

その成果として、今や香港の大手スーパーや韓国の大手百貨店と定期的な取引があるようです。
同社の強みは、柔軟な発想力を活かしたオリジナリティのある商品開発力にあるとのことです。

また、新しい工場を稼働し、生産能力を向上させ、ISOの取得をするなど品質面での向上も図られています。

世界的に認められる価値を生み出し、何度も展示会で実績を積まれ、海外にアピールし続けたことが海外進出への突破口となったようです。