今回のコラムでは、ミャンマーから受け入れをした「外国人技能実習生」と共に、ミャンマーへの進出を実現された建築物の防水塗装・内装工事を中核事業とする企業の海外進出事例についてお話しします。
近年日本国内では、企業による「外国人技能実習生」の受け入れ増加により、土木や建設業の現場で度々外国人の働く姿を目にする様になりました。
「外国人技能実習生」の受け入れをした企業が、彼らはハングリー精神を持って仕事に取り組んでくれるという感心の声を聞いたことがあります。
「外国人技能実習生」というのは、「外国人技能実習制度」という制度に基づき日本へ技術を学びに来る外国人のことですが、この制度について少し説明させていただきます。
外国人技能実習制度について
「外国人技能実習制度」というのは、1960年代後半頃から、海外の現地法人などの社員教育として行われていた研修制度が評価され、これを原型として1993年に制度化されたものです。
本制度の目的・趣旨は、「我が国で培われた技能、技術又は知識の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与する」という、国際協力の推進です。
(国際研修協力機構HP、外国人技能実習制度の概要より引用)
ミャンマー進出企業の紹介
さて、冒頭でお話ししたミャンマーへ進出された企業(建築物の防水塗装・内装工事を中核事業とする)についてですが、同社は高知県高知市に本社を構え、社員数は22名、建築物の屋上にシートを張り、雨漏りを防ぐ防水塗装をするなどの事業を手がけられています。
2015年から、ミャンマーからの技能実習生を受け入れを開始しました。
そして、現場で技能を学んだ彼らと手を組み、進出先したミャンマーでは、2017年に現地法人、2018年の内資会社をそれぞれヤンゴンに設立されています。
ミャンマー進出の背景・きっかけ
同社(建築物の防水塗装・内装工事を中核事業とする企業)は、競合がいない中で高い技術を持って進出すれば、成功のチャンスがあるという話を聞き、ミャンマーへの進出を考えるようになったそうです。
ミャンマーでは、雨季に降水量が増え、外壁が傷みやすいという事情を知り、同社の施工技術に一定の需要が見込める事が確かであったそうです。
また、受け入れをした、ミャンマー人の実習生の実直な人柄に好感を覚えたことも、進出への決意を後押ししてくれたそうです。(ミャンマーは親日的と言われており、勤勉でかつ豊富な労働力があると言われています。)
ミャンマー進出においてのステップ
同社(建築物の防水塗装・内装工事を中核事業とする企業)は、専門家の支援で、ミャンマー現地の法律や、ASEAN地域での商習慣の助言を受けながら準備を進めたそうです。
資材の安定した確保が課題でしたが、内資会社を設立し、日本やその他の外国から健在の原材料を直輸入する事で問題を解決。
そして高知の本社で勤務経験のあるミャンマー人スタッフを雇用し、現地採用の人材の指導に当たらせながら運営体制を築かれました。
こうして運営体制を整えた後、日系ゼネコンに向けた販路拡大のPR活動をし、次第に工業団地で建造する工場の外壁工事などの専門工事を複数受注、ヤンゴン市内の開発案件においても学校やホテルの建造に関する工事を一部受注するなどし、ミャンマー進出への第一歩を踏み出されたようです。
ミャンマー進出の成果
同社(建築物の防水塗装・内装工事を中核事業とする企業)の様に、技能実習生が日本で学んだ技術を祖国に持ち帰った後、それらを活かしてビジネスにすることは決して簡単ではありません。
同社の進出には、事業を成功させる事も目的であったと思いますが、3年預かった技能実習生を、そのまま放り出すわけにいかないという同社の代表の思いもあったようです。
同社の代表は、これから受け入れる技能実習生のご両親に会うため、彼らの実家も訪問するほど、ケアもしっかりされています。
労働力をコストとして捉えるのではなく、技能実習生を大切にし信頼関係を築き、安心した環境づくりをされている点も、海外ビジネス成功の秘訣なのではないかと思いました。
また、世界各国からの投資が集まり、都市開発、複合施設やホテル建設の動きが活発化したミャンマーでは、建設に関する技術が元々あるわけではありません。
専門工事を行う日本の企業は限られています。
ここに、高い技術を持った同社(建築物の防水塗装・内装工事を中核事業とする企業)のチャンスがあった様です。
右肩あがりと言われているミャンマー、近年の経済開放により外資が参入しています。
ビジネス面において、まだまだ進出の展開が見込める魅力的な国だと感じました。