ビニール製手袋メーカーのミャンマー進出事例

今回のコラムでは、塩化ビニール製などの手袋を製造する、日本のトップメーカーが、ミャンマーへ進出した事例についてお話します。

現在のミャンマーの経済状況は、世界各国からの投資が集まり、日本企業の進出ラッシュも続き、好調です。

例として、冒頭に述べた、塩化ビニール製の手袋製造メーカーが、ミャンマーでの生産拠点に選んだティラワ工業団地(ZoneA)は、2015年開所後、爆圧的に売れ、2019年1月時点で87社の入居が決定、土地はほぼ完売するほどの人気です。

ミャンマー進出企業(塩化ビニール製の手袋製造メーカー)の紹介

今回ご紹介するミャンマー進出企業は兵庫県姫路市に本社を置き、従業員数は343名、1954年の設立当時に新素材であった塩化ビニールを使った手袋を、世界で初めて開発された、歴史のある企業です。

同社の商品は、誰もがホームセンターなどで見たことのある、有名なものばかりで、家庭用手袋から作業用手袋、産業用手袋など、様々な場面で使用されているものです。

同社の商品が開発されたきっかけは、戦時中に、満州で粗悪な防寒用手袋により、辛い体験をした創業者が「日本人の手を守るものを作ってみたい。」と思ったことが始まりでした。

戦時中の創業者の思いが叶って、現代においても工事や製造現場のみならず、家庭での水仕事などの場面で、私たちの仕事を支え、人々の手を安全から守ってくれています。

なお、 同社が、何度も試行錯誤を重ねて開発された商品にかけた熱意は、現在も研究、技術、製品のあらゆる開発局面に受け継がれ、これまでに生み出された商品は現時点で約2,000種を超えているそうです。

また、同社は、既にマレーシアやベトナム、米国に生産拠点があり、欧米向けを中心に輸出に取り組まれており、輸出が売り上げに占める割合は、4割とのことです。

この様に、同社は既に海外進出をされている中で、なぜミャンマーを進出先に選ぶこととなったのでしょうか。

ミャンマー進出の背景・きっかけ

同社(塩化ビニール製の手袋製造メーカー)は、

①国内での飛躍的な売り上げの伸びは期待できないと踏んでいたこと、

②そして海外では、同社の既進出国における人件費高騰が起きていること、

③中国や韓国などの価格競争が激しくなってしまったこと、などを理由に、

海外生産拠点の最適化に迫られたことがきっかけとなり、新たな進出先にミャンマーを選択されました。

今のミャンマーは、電気や水道などインフラが未整備であるため、課題は残りますが、他国と比較した場合、人件費が低く、且つ人材豊富な国です。

また、国が経済制裁から解かれて間もないため、国内にあらゆる物資がなく、ミャンマー国内市場をターゲットとしたビジネスの成長も見込めるかと思われます。

ミャンマー進出においてのステップ

同社(塩化ビニール製の手袋製造メーカー)は、ミャンマーへ進出するにあたって、とある支援機関を通して、ミャンマーに関しての、既に整理された情報を入手することから始められました。

また、同機関のサービスを通して、進出日系企業の工場や、ティラワ経済特別区等を視察しながら、ミャンマーの市場やビジネス環境を確認することができたそうです。

このような段階を経て、現地法人設立や投資ライセンスの申請手続きを進めたそうです。

 今後は、製品の生産性向上と安定供給を図るため、製品加工の一部をミャンマーに移管する考えだそうです。

かつてビルマと呼ばれていたミャンマーは、最近まで軍事政権による圧政により、経済が著しく制限されてきましたが、2011年に軍事政権が終わった後に外国企業の投資対象国になりました。

現在アジア各国の労働コストが高騰する中、工場の進出先として有望視されている国の一つです。

それから、タイ~ミャンマー間を結ぶ南部経済回廊が整備され物流の拡大が進んでおります。

この様な動きも相まって、今後のビジネスの活性化に期待することができそうです。