医療業タイへの進出

今回は、タイ・バンコクにて、薬局およびクリニック事業を行う企業の、海外進出事例についてお話しします。

私たちの海外渡航中の心配事の一つに、体調を崩した時に、緊急に購入できる薬は現地にあるのか、もしくは、日本人が駆けこめる様な、言葉が通じる病院はあるのか、などが挙げられます。

タイへ数年前に渡航した際、バンコク市内のある大通り沿いに、薬局があったので、店内を覗いてみたことがありました。

そこでは、日本の薬や雑貨類もいくつか見受けられ、日本の製品が入手できることに安堵した経験があります。

タイ進出企業の紹介

さて、今回ご紹介するタイ進出企業は薬局およびクリニック事業を行う企業です。

バンコク市内に本社があり、バンコク中心部に、日本人常駐の薬局や、タイ人を対象とした薬局を設立されました。

同社が薬局を設立された後には、診察及び各種保険の対応も全て日本語でサポートしています。
また、内科総合診療医院の運営を開始するなど、タイでの事業を少しずつ拡大されています。

タイへ進出した背景・きっかけ

同社(薬局およびクリニック事業を行う企業)は、最初から、タイで薬局事業を開始されたのではなく、初めは、日本にて、タイ商品の輸入代行EC事業をするさ中、タイ在住の日本人向けに、医療に関する悩みや不安を身近な形でサポートできないか、と考えたことがきっかけとなり、バンコク中心に日本人通訳常駐の薬局を設立されました。

タイ進出においてのステップ

同社(薬局およびクリニック事業を行う企業)は、タイで起業するにあたり、言葉が通じないことでかなり苦労された様です。

開業のために、FDA(タイの保健省食品医薬品庁)を訪れた際も、FDAの職員と、タイ語が話せない、また、英語も通じないため、追い返されてしまうが、その追い返された原因も、言葉の障害により、理解することができなかったといいます。

それでも、根気よくFDAに通い続けるうちに、FDAの職員から、タイ語で書かれた「薬局開業の手引き」を入手、そしてそれらを英語に翻訳することで道が開かれ始めたのです。

何をすべきかの情報を入手してからは、薬剤師と開業店舗探しを開始されます。

しかし、FDAにて入手した「開業の手引き」に沿って準備を進めたものの、FDAによる指導の元、店舗の改修とダメ出しを繰り返し、最終的には何とか申請を通したそうですが、費用がかかり、大変苦労されたようです。

タイ進出の成果

同社(薬局およびクリニック事業を行う企業)が展開した薬局は、バンコク在住の日本人以外にも、観光でタイを訪れた日本人も薬を購入できることから、好評のようです。

そして今では、薬以外のタイハーブの商品、サプリメントなど、旅行用のお土産購入目的の来店も増えたとの成果があったり、日本から、高品質な日本製の商品をタイ市場に出すためのサポートの依頼を受けるまでにビジネスの領域が広がったそうです。

同社(薬局およびクリニック事業を行う企業)は、海外進出にあたり、

  1. 現地パートナーを見極め、信頼と実績の確認。
  2. 日本企業の様な綿密さや時間厳守は稀であることの認識。
  3. 口約束ではなく書面に残し、リマインドなどの作業をまめに行う。

等が大切であると言います。

日本は島国であることもあり、他文化が入りにくく、独特の価値観があります。

海外進出では、現地を実際に見ないことには分かり得ない事だらけです。

しかし、日本人の尺度・価値観が、世界から見ると特異なものであるということを、まず覚悟する必要があります。

タイには、日本人が多く暮らしており、今も尚日系企業の進出動向が活発であることから、日本製の薬のみならず、安心安全の日本製商品などに、今後も多くの需要があることが見込めます。