多国籍企業は必須! デジタル課税気をつけるポイントは?

令和4年度税制改正大綱にも記載されました、国際的な法人税改革である「デジタル課税」について、昨年、OECD(経済協力開発機構)加盟国を含む 130 カ国・地域の間で大枠合意に達しました。この合意には2つあり、1つは税逃れを防ぐためのルール、そしてもう1つが最低法人税率を定めたことです。

今回は、この合意において、今後制定されると思われるデジタル課税の概要を解説します。

世界的な多国籍企業の消費国での課税を強化(課税逃れを防ぐ)

 従来は企業が海外に進出する場合、現地に工場や販売拠点などの恒久的施設等(PE:Permanent Establishment)を作ってビジネスを展開していました。その場合は、その企業の事業所得に対して、所在地国で課税をすることができ、事業所得を上げている国で課税がされている状況でした。ただ、IT企業のようにインターネットを通じてサービス提供する企業は、その国にPEを持たなくても事業展開が可能であるため、必ずしも、事業所得を上げている国で課税ができない状況となっています。この状況を改善する為に、サービスの消費者がいる国(市場国)で課税をする事について、合意がされました。

 適用対象

売上高 200億ユーロ(日本円で約2兆6000億円)超で、利益率が10%を上回る多国籍企業グループ

 課税方法

利益率10%を超える超過利益の25%を市場国に配分する

自社のビジネスを確認

 これは必ずしも IT 関連だけに限らず、資源関連企業と金融業を除く一般企業も含まれますので、消費者向け通販ビジネスなどもその対象となります。現状で、該当するのは全世界で100社程度となる見込みですが、今後課税範囲が広がる可能性もありますので、注意が必要です。またこの場合、言わば課税権が企業の所在する国から、サービスや商品を消費する国へ移転ですので、二重課税とならないようなルールはこれから検討されることとなります。

最低法人税率は15%で合意(タックスヘイブンに対する対策)

 上記以外に、企業に対する最低税率を15%とすることが決められる予定です。これによって、法人税率が低いタックスヘイブン(避税地)に関連会社を設立している企業に対して、課税が強化されるということになります。具体的には、その企業が実際に負担している税率が、最低税率(15%)を下回っている場合には、その差額が経課税国以外の会社等に上乗せして課税されます。これは単なる課税権の移転だけではなく、世界全体の税収が増えることとなり、その額はOECD の試算によると毎年 1500 億ドル(日本円で約16兆5000億円)ぐらいになるとされています。

 適用対象

年間総収入が7.5億ユーロ(約1,000億円)以上の多国籍企業(国別報告書の提出必要企業) 

 課税方法

・軽課税国にある子会社等の税負担が、最低税率に達するまで親会社の国で課税(所得合算ルール)

・軽課税国にある親会社等の税負担が、最低税率に達するまで子会社等の国で課税(軽課税支払ルール)

 

■自社の状況を確認

 現在、国別報告書の提出が必要な会社は、子会社が実際に負担している税額を正確に把握し、最低税率に抵触していないかを検証する必要があります。子会社の課税関係をしっかり把握し、親会社(日本)での課税漏れが無いようにしなければいけませんし、軽課税国への進出メリットについても見直しが必要です。

 

 多国籍企業にとっては、デジタル課税の概要を理解すると共に、今後の課税制度について確認し、必要な対策をする事が重要です。

課税強化による税負担の増加にも気をつけないといけません。

最新のセミナー情報はコチラ