「国外財産調書制度」の概要②
~国外財産調書の書き方~

前回の続きです。

 国外財産調書制度は、1231日時点において海外で保有する資産の合計額が5,000万円を超える人に届出を義務づける制度です。

国内居住者は、翌年315日()までに税務署に「国外財産調書」を提出しなければなりません(※令和5年分以後の国外財産調書の提出は「翌年630日まで」となります)。

 今回は、国外財産調書をどのように書けばよいか、一定の所得額を超える人が提出する「財産債務調書」との関係などを整理します。

 国外財産調書の書き方 

 記載にあたっては、国外財産調書を提出しなければならない人の氏名と住所または居所を記載します。

 土地や建物、現金や有価証券など、国外財産の区分に応じて、種類(普通預金、定期預金など)や用途(一般用、事業用)、所在ごとに分けて記載します。

 コンドミニアムのような土地建物が一体で、価額を土地と建物に区分することができない場合は、一体のものとして記載することができます。 具体的には、建物として記載したうえで備考欄に「価額には土地を含む」などと記載します。そして、数量と価額をそれぞれ記載していきます。

国税庁参考HP①

 また、国外財産調書とあわせて、合計表(サマリー)も提出することとなっています。こちらには、財産区分ごとの価額の合計額を記載します。

国税庁参考HP②

 「財産債務調書制度」との関係

国外財産調書の提出者の中には、年間の総所得金額及び山林所得金額の合計額が2,000万円を超えて、かつ3億円以上の財産を有している場合には、「財産債務調書」を税務署に提出している方もいると思います。

この「財産債務調書」を提出していても、「国外財産調書」の提出を省略することはできません。財産情報が分かればいいのだから、どちらか一方の調書にまとめれば十分では?ということを言われる方もいます。しかし、制度上は両方とも提出しなくてはなりません。「国外財産調書」と「財産債務調書」は、提出義務者も記載内容も異なりますので省略はできません。

 ただし、両方とも提出する場合、財産債務調書に、国外財産については「国外財産については国外財産調書に記載の通り」と記載することで二重記載を省略できます。

 相続が発生した場合での「国外財産調書」の記載事項 

 なお、令和2年度税制改正により、相続が発生した場合での国外財産調書の取扱いが変わりました。

 従来は、相続が発生した年の1231日で5000万円を超える国外財産がある場合、相続した財産も含めて相続人は、国外財産調書を提出しなくてはなりませんでした。しかし、令和211日以降、相続が生じた年は、相続や遺贈で取得した国外財産を除外してもよいこととなりました。

 国外財産調書を提出する義務があるかどうか(国外財産の総額が5,000万円を超えるかどうか)は、相続した国外財産を除いて判定します。ただし、この扱いは「相続や遺贈で財産を取得した年分」だけです。翌年以降は相続や遺贈で取得した国外財産を国外財産調書の提出義務の判定に含め、提出する国外財産調書に記載しなければなりません。

CRSを活用して国外財産を把握 

 CRSとは、共通報告基準準(Common Reporting Standard)の略で、非居住者の金融口座の情報を他国の税務当局間で毎年、自動的に交換する取り組みをいいます。

 このCRSを活用することにより、国税庁は日本人が海外の金融機関に保有する預金口座等の情報を収集することができ、国税当局は、こういった情報と国外財産調書の内容を突合し、国外財産に係る申告漏れがないかを厳しくチェックしています。

  

次回は、国外財産調書を提出する場合のインセンティブや提出しない場合等のペナルティを中心にご説明します。

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